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飛騨高山の有名うどん店!一度行くと癖になる?創業66年を迎えた【こう平うどん】店主インタビュー

高山市岡本町にある超有名うどん店、こう平うどん(新井こう平製麺所)の店主は現在85歳の新井浩平さん。地元で長く愛されて創業66年、今では日本全国からお客様がいらっしゃるお店です。安くて早い、そして癖になる味!ファンの方が多いあの味の秘密を教えていただきました。

動画でもご覧いただけます。

高山市にある製麺所兼うどん店<こう平うどん>店主 新井浩平さんインタビュー(全編飛騨弁!)

学校を卒業した後、何か商売がしたいと考えたんや。飲食店が良いと思ったもんで、高山にあった「ふるはし」といううどん屋さん(現在は閉店)で1年間修行したんやさ。その後、今から66年前に飛騨天満神社の隣で製麺所を立ち上げて、11年前に店舗の場所を移動して今の店。最初は麺の卸売や小売をやっとったんやけど、途中からお店の中に畳一畳ほどの大きさの机と長椅子を設置したんや。その場でうどんを食べられるように。

当時から変わらず通ってくれるお客様や3世代に渡って顔を見せてくれるお客様もおって本当にありがたいことや。継続は力なりって言葉あるろ、あれと同じ。お客様の顔を見るたびに続けてきてよかったと思うんや。

こう平うどんは創業66年、私は85歳。でも未だに自信がないんやさ。

長く店を続けとったら、地元の方だけでなく日本全国からお客様が来てくださるようになって。でもいまだに、自信はないんやさな。一生懸命やっとるつもりやけど、本当にこれでいいのかと思うことだらけや。お客様のことを考え工夫を続けなければならないと思うばっかり。まだまだや。


店のテーブルの上に七味と一味があるろ、これもな、最初は七味だけやったの。でも辛みを足したいっていうお客様もおるで、一味を置き始めたんや。あと、カウンターには味がついていない出汁が入ったポットがあるんやけど、これもつゆが塩辛いから薄めたいとおっしゃるお客様のために置いたんや。麺の硬さや種類も好みに応じて選べるようにしたりな〜。せっかく来て下さるお客様に喜んでいただくにはどうしたら良いか・・・目を配り、心を配り、66年間考え続けとる。

朝は3時半頃から仕込みをしてオープンは6時。お客様が待っとるでな、やらんと。でもただ作業としてやるだけではダメや、どうしたらお客様のためになるか?考えて動くんや。私は勉強できるわけでないし、ただ製麺やうどん作りを一生懸命やっとるだけ。でもたくさんの人が来てくれる店になった。だから85歳になった今もお客様のため、喜んでいただくために頑張る、それだけなんやさ。

若い人に言えることなんてそんなにないで恥ずかしいんやけど・・・



若い人に何かメッセージ?私は何もできんし偉くも賢くもないで何もないさ〜、そんなこと聞かれても申し訳ないし恥ずかしいくらいや。でもそうやな、言えることがあるとしたら・・・そうやなあ・・・


何かを長く続けたい、結果を出したいと思ったら耐えながら考え続ける力が大事なんやないろか。例えば何かのお店をオープンするときも、10のうち6割か7割くらい準備ができたらオープンする人が多いろ?何かの勉強も、7割くらいで満足しとる。でも結果を出したい長く続けていきたいと思うなら、ぐっと深く色々なことを考えて、考え尽くして、想像して、準備をして、10の準備が完璧にできてからようやくスタートさせた方がいいんでないろうかな。

10まで考えるとそこで初めて設備や準備が整い、さらに想定外のことが起きた時のための応用力が身につくろ。テストでも商売でも高得点を取るためだけならそこだけ勉強すればいいかもしれんけど、さらにその先何かしようと思うと応用が大事やで。長く続けるといい時もあれば悪い時もあるでな、そのためにも応用ってのは必要やさ。


学生さんは成績のための勉強することも大事や、でもな、社会に出ると学力より気持ちの強さが大切やと思うんや。大変なこともたくさんあるけどな、いちいちがっかりせず真面目にやり続けるとやがて認められる時がくる。いつだって一生懸命に、いつだって必死に。私が若い方に言えるのはこういうことやな。



ウサギとカメの昔話を知っとる?ウサギとカメが競走をすると、ウサギは脚が速いでずっと先頭。遠く後ろにいるカメを見て「まだまだ大丈夫だろう」と油断し、休憩する。その間もカメはコツコツと歩みを進め、やがてウサギを抜き、一番になるというお話。景気が良いからといってラクをして稼いでもそれは続かんのや。カメのように自分にできることをコツコツ、周りが先に行ってまったと思っても耐えて続ける。そうすると結果がついてくるんやさ。


あ〜でも恥ずかしいなこんな話。偉そうに。申し訳ないこっちゃ。私なんてまだまだなんやで。

こう平うどんが今の店に移転したのは11年前。何歳になっても、ここぞというときは動かんと。



店が飛騨天満宮の隣から移動したのは11年前。もっと駐車場がいると思ったんやさ。前の場所では車を止めるスペースが少なかったもんで、広く駐車場を作れる今の場所に引っ越したの。当時74歳くらいやったけど、お金を借りて移転したんや〜。ずっと同じ場所で続けるより、駐車場にゆとりのある場所のほうがお客様もラクに店に来れるろ?


コツコツ続けて、ここぞと言うときはやる。設備投資が必要やと思ったらためらわずやる、70歳過ぎ、80歳近くなっても歩み続ける。さっきの七味と一味の話や出汁ポットの話も、店の移転もそうなんやけど、長く続けとっても変えた方が良いと思うことは見つかるもんなんや。やで、コツコツ続けながらお客様が何を求めているか考え、必要なことは迷わず実行。何歳になってもそういったことに怖さはないんや。自信はないんやけどな、怖いとは思わんの。不思議やな。なんでやろな?

あの看板の絵と、癖になる味の秘密?それはな・・・

店名の「こう平」は私の名前。本名は浩平という漢字なんやけど、漢字のままやと堅苦しいろ?やでひらがなにしたの。柔らか〜い感じがしたほうがいいろ。看板の絵も私が書いたよ。私は絵や文字を書くのが好きなんや、店内にもいくつかあるろ、ほらこれ、見て。友達も絵が好きやで描いて贈ってくれるんや、店にかざっとる。

うちの店のうどんは癖になる?そう言ってくれる人多いな〜ありがたいことや。でもなんでやろな。秘密というほどのことではないけどな、醤油や出汁は長年変えとらんのや。昔からずっと一緒。開店当時から変わらんよ。あとな、この味はもともと私のお母さんの味なんや。昔の家のかまどでな、お母さんがうどんを作ってくれたの。あれが最初や。お母さんの味はみんな好きやろ?やでみんなまた食べたくなるのかもしれんな。

みんながうどんを食べに来てくれることが本当に嬉しいんや、ありがとう。



長く続けられるのはお客様のおかげやさ。本当に感謝感謝、ありがたい気持ち。「月はすべての山を照らす」って言葉があるんやけどな、天の月は陰日向なくすべてのものを照らすという意味なんや。水、空気、自然のように誰にでも平等で分け隔てない存在、私もそんなふうにみんなに喜んでいただける存在になりたいな〜って考えとるよ。

お金儲けや自分のことだけじゃなくてな、まず誰かのために。老若男女問わず「おいしかったよ!」の言葉を聞けるのが私は本当に嬉しいの。ほんとに、みんな来てくれていつもありがとうな。至らんことばっかりやけど、また来てな。

<編集後記>
終始笑顔でお話ししてくださった新井浩平さん。「これだけ長く続けてもまだまだだと思うけれど、お客様から美味しいといっていただけるととにかく嬉しい」と何度も仰っており、その謙虚な姿勢が印象的でした。これからも末長く市民のお腹と心を満たしてくれる存在でいてほしいです!


こう平うどん(新井こう平製麺所)

TEL:0577-57-8383

住所 岐阜県高山市岡本町3-105-8

営業時間:月・火・木〜日・祝 6:00~14:30

定休日:水曜

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淺井葉月
anoina,news. 編集長のほか、企業の採用コンサルやライター講師も行なっている。