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飛騨高山蒸溜所に見学に行ってみた!廃校を活用したウイスキー蒸溜所



2023年5月、岐阜県初のウイスキー専門蒸溜所が高山市高根町で始動!蒸溜所のある場所は、廃校となった旧高山市高根小学校の校舎です。

岐阜県初しかも廃校を活用した蒸溜所として注目を集めるこの施設は、2023年秋頃から見学ツアー開始予定ですが、今回はアノイナが内部を紹介します!


■ウイスキー蒸溜所設立までのストーリーはこちら!

飛騨高山の豊かな自然に囲まれたウイスキー蒸溜所。

飛騨高山蒸溜所(旧高山市高根小学校)は、高山市街地から車で約40分、国道361号線を南東へ約30km進んだ高根地域にあります。景色を楽しみながらドライブをすると気持ちの良い道です。

北に乗鞍岳、南には御嶽山を望む自然豊かな場所に佇む飛騨高山蒸溜所。すぐ近くには高根第二ダムもある。

2007年にタイムスリップ!校舎の中には見どころがいっぱい!

2007年に閉校した旧高根小学校ですが、現在も当時とほぼ変わらない状態で保存され、学校らしさを失わず蒸溜所として使用されています。

まず校舎の玄関をくぐると、飛騨高山蒸溜所のロゴが書かれた樽の上でちょこんと座る木彫りの猫がお出迎え。なぜウイスキー樽の上に猫がいるのでしょうか?

用意されているスリッパに履き替え見学に進みます。


実はこちら、飛騨高山蒸溜所のマスコットキャラクターの猫ちゃんです。

ウイスキーの産地といえばスコットランドが有名ですが、スコットランドの蒸留所では、ウイスキーの原料であるモルト(麦)を食べにくるネズミや小鳥を追い払うために猫を飼っていたのだとか。蒸留所の猫は「ウイスキーキャット」と呼ばれ、原料を守る「害獣駆除員」として従業員名簿に載るほど大切にされていたそうです。

そこで飛騨高山蒸溜所では木彫りの猫「チェシャ」をウイスキーキャットとして大切にしています。見学の際は、名前の由来についても注目してみてください。


地域の子どもたちが育った場所だから、廃校になっても大切にしたい

「廃校」という言葉には少し暗いイメージがあるかもしれませんが、旧高根小学校は明るく、爽やかな雰囲気です。なぜ校舎は劣化せず綺麗に残っているのでしょうか?答えは、地域の方の優しさ・思いやりにあります。

長い廊下の窓の外には鮮やかな自然が広がる。


2007年に閉校となった後も、地域の方々は定期的に校内の掃除や整備に訪れていました。いつか壊される場所だと知りながらも、地域の子どもたちが育った大切な学校をそのままにはしておけなかったのです。

「学校を残したい」という地域の方の気持ちは、教室の黒板からも伝わってきます。2007年3月24日の閉校式の日、生徒達が黒板に描いたメッセージは現在も消されることなく残されています。


5・6年生の教室。

1・2年生の教室。16年前に書かれたの3月の予定がそのまま残されている。




黒板のメッセージから、そしてそれが消されず残されていることからも、この学校がたくさんの方に愛されていることがよくわかります。飛騨高山蒸溜所のオーナー有巣さんは、地域の方々の優しさ、愛情が今もなお残るこの教室を見て「ここで美味しいウイスキーを作りたい」と思ったそうです。

学校の先生のようにウイスキーについて教えてくださる有巣さん




学校の中で作られる飛騨高山産ウイスキー


飛騨高山蒸溜所ではウイスキーの貯蔵場所として教室を活用しています。各教室を覗くと大きな樽が並び、少し不思議な光景です。

「シングルモルトジャパニーズウイスキー」の販売開始は2026年を予定。


校章入りの立派な机と校旗が大切に残されている校長室にも樽が眠っています。小学生時代、校長室に入る時って少し緊張しませんでしたか?ついつい入口で「失礼します」と言ってしまいそうです。


ウイスキーは「時間が味を左右する」と言われるほど、熟成期間が重要とされるお酒。旧高根小学校の校舎内でゆっくり寝かされるウイスキーは、一体どんな味わいになるのでしょうか。

元学校だからできるウイスキーの楽しみ方?!


校舎の2階には理科室があります。理科室といえば実験!ということで、今後は「ウイスキーのブレンド実験in理科室」など、飛騨高山蒸溜所ならではの企画も構想中だそうです。元学校だからできる楽しみ方ですね。




椅子と机が残されている教室もあります。教室の中でウイスキーについて詳しく教えていただくことができるのは、廃校ならではの体験です。

当時の生徒たちが使用していた椅子やテーブルも綺麗なまま。


ウイスキーの原料は巨大な袋の中に!

体育館前の通路には、巨大な袋がたくさん並べられていました。中に入っているのはウイスキーの原料となる「大麦麦芽」。よく耳にする「モルトウイスキー」はこの大麦麦芽(モルト)のみを使用したウイスキーです。

飛騨高山蒸溜所では、大麦麦芽をスコットランドから直輸入しているそうです。

1トンの大麦が入った袋が何個も並び、迫力があります!

大麦麦芽を粉砕していくミル

左から「ハスク」「グリッツ」「フラワー」と呼ばれる。

3段階に粉砕される大麦麦芽。ここからどのようにしてウイスキーが造られていくのでしょうか。いよいよ体育館の中でウイスキーの仕込み・蒸留工程の見学に進みます。

体育館が丸ごとウイスキーの蒸溜所に!

体育館の扉を開くと、正面のステージに大きな蒸留機器が!前半で見学した教室には懐かしい空気感が残っていましたが、こちらはまさにお酒造りの現場、といった雰囲気です。精密な機器が稼働し、スタッフさんもキビキビと働いていらっしゃいます。



元体育館という構造を生かし、壁面に設置されている通路(キャットウォーク)から製造風景を見下ろす形で見学することができました。これも、飛騨高山蒸溜所ならではの見学方法です。

麦汁が発酵している様子を真上から見ることができます。

ステージに設置されているのは「ZEMON(ゼモン)」と呼ばれる2台の蒸留器。鋳造製の蒸留器としては世界初というZEMON。機器に使用されている銅と錫の効果でウイスキーの味わいがまろやかになるそうです。

飛騨高山蒸溜所にある蒸留器は初代ZEMONを改良した新型機「ZEMONⅡ」です。近くで見ると大きさと質感に迫力があります!蒸留中は少し近づいただけでも熱気が伝わってきました!

「ZEMONⅡ」間近で見るとさらに迫力が!



見学の醍醐味。ウイスキー原液の試飲もできます


見学後には、蒸留したての、加水も熟成もされていないウイスキーの原液(ニューポッド)を試飲することもできます。私たちが日頃目にするウイスキーとは色も香りも全く違いますが、このニューポッドの試飲ができるのも飛騨高山蒸溜所ならでは。試飲が出来ない方もぜひ麦の香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
(※試飲できるのは20歳以上の方、車の運転をしない方限定です)


見学中にふと目をやると、従業員のみなさんが作業をする際に座っていたのは、どれも当時の生徒達が使用していた教室の椅子でした。蒸溜所に生まれ変わり最新の機器のが設置されて緊張感がある中でも、旧高根小学校の面影が暖かい雰囲気を感じさせてくれます。

2023年秋頃から見学ツアー開始予定!飛騨高山蒸溜所。

「ウイスキーの知識があまりない」という方や「お酒が飲めない」という方でも、小学校という場所柄「課外授業」のように楽しく見学することができます。

蒸溜所見学は2023年秋頃から開始予定ですので、興味のある方はホームページやSNSを随時チェックしてください
。さらに、将来的にはウイスキーのブレンド体験やグラウンドを利用したグランピング施設などの構想も進めているという飛騨高山蒸溜所。今後の展開もとても楽しみです!

※本記事内の見学内容は2023年6月現在のものです。今後内容が変更となる場合があります。
※見学は完全予約制です。



ウイスキー蒸溜所設立までのストーリーはこちら!

飛騨高山蒸溜所
※見学は2023年秋頃から開始予定。完全予約制のため詳しくはお問い合わせください。
住所:岐阜県高山市高根町下之向164-2
電話:0577-32-0016 (有限会社舩坂酒造店)
駐車場:敷地内にあり
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山本 ちか
高山生まれ・高山育ちの30代。綺麗な風景と美味しい物が大好き!高山にある素敵なお店や美味しいお店探しも趣味のひとつ。たまに楽器の演奏をしたり写真を撮ったりしながらぼちぼちやってます♪