2022年2月に高山市上一之町にオープンした新店をご紹介します!築100年以上の古民家を改装したコーヒースタンド「Falò Coffee Brewers」(ファロコーヒーブリュワーズ)で、スペシャルティコーヒーの魅力や楽しみ方、開店までのストーリーを店主のタケさんに伺いました!
「スペシャルティコーヒー」って何だ?!その魅力と楽しみ方
——浅煎りのスペシャルティコーヒーをメインで出しておられるということですが、そもそもスペシャルティコーヒーってどういうものなんですか?
Falò Coffee Brewers 店主 竹橋さん(以下、タケさん):分かりやすく言えば、品質が高くて美味しいコーヒーのことです。
スペシャルティコーヒー協会という組織があって、その品評会で80点以上の点数がついたものがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。
果実感がある、甘さがある、酸味がある、といった豆ごとのフレーバーや味の違いが分かりやすいのもスペシャルティコーヒーの特徴ですね。
——このコーヒーに添えられたカードは何でしょうか?
タケさん:これはフレーバーカードといって、お出ししたコーヒーのフレーバーの参考が書いてあります。
飲む側も香りをイメージできた方が楽しいじゃないですか。良い意味での先入観が生まれて、その味を探したり、香りを想像しながら飲むのも一つの楽しみかなと。
——なるほど! ウイスキーやカクテルみたいな楽しみ方ができるんですね。
タケさん:通じるものがありますね。コーヒーは日常的な飲み物になりすぎて、缶やコンビニだけで済ませてしまう人も多いですが、こういうコーヒーもあるんだと気づいてもらえるきっかけになればいいなと思います。
「酸味のあるコーヒーは苦手」を覆す!スペシャルティコーヒーの果実感あふれる味わい
タケさん:スペシャルティコーヒーは豆ごとの特徴が際立つので浅めの焙煎で出すことが多いんですが、浅煎りだと絶対酸味はあるんですね。
お客様に「このメニューから選んでください」と言ったときに「酸味が少ないやつはどれですか」とよく聞かれます。コーヒーの好みを聞くと、ほとんどの人が「酸味のあるコーヒーが苦手」って言うんですよ。
——確かに、「酸味が少ない」コーヒーを私も選びがちです・・・!
タケさん:おそらく皆さんが思っている酸味って、コーヒーを淹れてから時間が経って酸化したイメージなんですね。でも、酸化した酸味と、果実感のある酸味ってぜんぜん違うんです。
「酸味」ってひとくくりにして敬遠してしまって、新しい選択肢ができるきっかけを失うのはもったいない!スペシャルティコーヒーの酸味を「果実感」として受け取ってもらえると嬉しいです。
あと、スペシャルティコーヒーの場合はどちらかというと、温度帯が高いときの方が酸味が前に出ます。
——あ、確かに最初の一口よりもマイルドな味わいになっている気がします!
タケさん:時間が経っても酸化した味にならないし、むしろ甘さの方が出てくるんです。
京都で出会ったスペシャルティコーヒー、メルボルンで出会ったコーヒー文化
——タケさんがスペシャルティコーヒーに魅せられたきっかけは?
タケさん:京都にいた頃働いていたカフェがWEEKENDERS COFFEEのコーヒー豆を使っていたんですが、そこで初めてスペシャルティコーヒーを飲んで衝撃を受けました。
こんなにフルーティーなコーヒーがあるんやと。
それまで缶コーヒーやコンビニのコーヒーしか飲んでこなかったので、その違いにびっくりして、そこからスペシャルティコーヒーにハマり始めました。
タケさん:そのあと1年くらいオーストラリアのメルボルンに行きました。
メルボルンはコンビニよりカフェの方が多いし、美味しいコーヒーに対するアクセスがすごく良いです。朝起きて寝巻のまま、寝ぐせもつけたまま皆コーヒーを買いに来て、そこから一日が始まるという…そういう文化でしたね。コーヒーが日常に溶け込んでいる感じがいいなあと思いました。
飛騨高山への移住と、ポップアップ出店で得た人との繋がり
タケさん:メルボルンから帰ってきたら自分のコーヒー屋さんをやろうと決めていたんですけど、場所は都市部じゃなくて地方がいいなと思っていました。
高山を選んだのは、自分がアウトドア好きなので山が近いことも理由の一つですが、こういう浅煎りをメインに出しているスペシャルティコーヒーのお店がこの地域にはなくて、未開拓市場、いわゆるブルーオーシャン状態だったんですね。スペシャルティコーヒーの文化を一から作っていける場所というところに魅力を感じました。
——高山に引っ越してから、しばらくはいろんな場所でポップアップ出店をされていたんですよね?
タケさん:はい。最初は京都時代から交流のあったCafe courier(カフェ クーリエ)さんの店舗を間借りさせていただいて、コーヒーを淹れていました。クーリエさんは冬季休業されているので、2020年12月に引っ越してきてから3月末まで週4日くらいやっていました。
元々の計画では2021年4月から自分のお店をオープンするつもりだったんですが、なかなか思っているような物件が見つからなくて苦労しましたね。
その間はGARAGE COFFEE WORKS(ガレージコーヒーワークス)という名前でポップアップ出店をベースに活動していました。外でもやったし、間借りでもやったし、イベントにも参加させてもらったり…。荷物が多いので毎日が引っ越しみたいな感じで、移動が大変でした。1月に野外で出店したこともありましたが、気温はマイナス2度とかですし、雪はがっつり降ってるし…あれはめちゃめちゃ過酷でしたね(笑)
でもポップアップ出店のおかげで、知り合いはすごく増えました。当初の予定通りにはいきませんでしたが、結果的に良かったかなと思っています。
焚き火を囲むように、皆が集まっていろんなことを話せる場所に。
——お店の名前の由来を教えていただけますか?
タケさん:「falò(ファロ)」はイタリア語で「焚き火」という意味です。
僕はもともとアウトドアがすごく好きでキャンプにもよく行くんですが、焚き火の前では皆正直になれるというか、いろんなことを話せる心境になると感じていて。
焚き火を囲むように、いろんな分野、いろんな文化の人が集まってきて話ができる場になればいいなという思いをこめてこの名前にしました。
——アウトドア系のイベントもすでに何度か開催されてますよね。
タケさん:はい。飛騨古川にあるFabCafe Hidaさん主催の「森カフェ」というイベントでは、参加者の方と一緒に森の中を散策してから外で淹れるコーヒーのワークショップをやりました。他にも焚き火料理とコーヒーのイベントをやったり、あと昨年は中止になってしまったんですが五色ケ原でもアウトドアイベントを企画していました。
次のアウトドアシーズンもぜひ続けていきたいですね!イベントの時は店を閉めて、外に出ていきたいと思っています。
飛騨高山は良い意味でいろんなことにチャレンジするハードルが低いと感じます。
都会でイベントなんかをやろうとすると、もしかしたらいろんな人にジャッジされたりということがあるかもしれないですけど、こっちではけっこう応援してくれるというか、新しいことにチャレンジできる土壌があるというか。サポーティブな人が多い印象です。
起業家や個人事業主にとっては良い環境だと思います。
店主おすすめメニュー&シチュエーション
——メニューのオススメはありますか?
タケさん:やっぱりハンドドリップコーヒー、あとはカフェラテですね。
ハンドドリップコーヒーの豆は常時3~4種類用意していて選んでもらうことができます。時期によって豆の種類は変わっていきます。
カフェラテはエスプレッソ用の豆と、牧生舎の牛乳を使っています。牧生舎の牛乳はすごくリッチな味わいで、コーヒーと合わせるとティラミスのようなデザート的な味になるんです。
あと、お子様のカフェデビューに、ミルクをふわふわに泡立ててチョコパウダーをまぶした「ベビチーノ」というドリンクもあります。
店主のタケさんよりメッセージ
美味しいコーヒーが飲みたいとき、ちょっと一息つきたいとき、お散歩のついでに、ふらっとFalò Coffee Brewersへ立ち寄ってみてはいかがでしょうか? アウトドア談義やコーヒー談義に花を咲かせるのも良いですね!
Falò Coffee Brewers(ファロコーヒーブリュワーズ)
住所 :岐阜県高山市上一之町45番地2
営業時間:9:00-18:00
定休日 :水曜日
駐車場 :なし(近隣のパーキングをご利用ください)
SNS :Instagram
お問合せ:Instagramのダイレクトメッセージからどうぞ!
カフェに行くのって、ちゃんとした格好で「お茶しに行くんだ!」とちょっと構える人も多いと思いますが、ほんとに気軽に使ってくださいね!
朝起きて、寝巻のままコーヒー買いに行く、それくらいカジュアルに使ってほしいです。犬の散歩の途中に立ち寄るとか、持ち帰りもOKです。
日常にとけこめるお店でありたいなと思っています。
もちろんデートでも、お母さんがたの憩いの場としても使ってください! お子様もウェルカムです。