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高山市にフレンチレストラン「NIM」がオープン!大切な人と特別な時間を過ごせるお店

2022年3月、高山市大新町に新しくオープンしたフレンチレストラン「NIM」(ニム)。
完全予約制&ランチ・ディナーともにコース料理という特別感あふれるお店に潜入し、オーナーシェフの大和(おおわ)さんと、ソムリエールの田野上(たのうえ)さんにお話を伺ってきました!

 

築130年の土蔵を改装したモダンなしつらえ

「NIM」の看板を横目に、小道を奥へ進みます。


重厚な黒い扉を開くと……


吹き抜けの天井と螺旋階段が正面に見える、素敵なエントランス!



オーナーシェフ大和さん:自分の店を開くにあたって、京都の長屋や古民家といった昔からある建物でやりたいというイメージがありました。
完全に小綺麗にしてしまうのではなくて、梁や柱など古い建物の良さを残しつつ、内装に鉄などを取り入れてモダンな雰囲気を出しています。

飛騨家具の椅子と、特注のテーブル。天板は栗の木、脚部分は内装との統一感を出すためにアイアンを使用。


東京に生まれ、フランス暮らしを経て、飛騨高山に店を構えた理由

——大和さんはどちらのご出身ですか?

大和さん:僕は生まれも育ちも東京でして、この春に高山へ引っ越してきたところです。
日比谷の南部亭という店で7年、渡仏して3軒のフランス料理屋で計7年半、日本に帰ってから荻窪のフランス料理店でシェフとして3年働いていました。

 

——ご自身のお店を出す場所として、飛騨高山を選んだ理由は?

大和さん:一番のきっかけは東京時代からお付き合いのあった野村農園さんです。
僕は仕入れ先の生産者さんの製法や作っている人の思いを共有したくて、直接会いに現地に行くことがよくあるんです。その一環で飛騨にも何度か来ていて、野村農園さんの近くの不動産屋さんからこの物件を紹介していただきたいです話が一気に進んでいきました。

飛騨は飛騨牛をはじめとして、チーズや野菜、きのこなど、食材というアイテムで勝負できるのも魅力の一つですね。
まだこちらに来たばかりなので、常に新しい食材を探しています。

 

フランスで7年半暮らしたことの影響も大きいです。
フランス人はフォアグラやトリュフも含めて地産地消を大切にしていて、お店にしても何百年も昔の建物を活用したレストランがあったりするんです。
それを考えたときに、自分は日本人として何ができるのか、日本にしかない建物で、日本の食材で……とだんだんビジョンができ始めました。

また、フランスでは自分の時間を大切にしている人、都市から離れた場所でいいなと思えるような暮らしをしているような人がいっぱいいるんです。

都会で暮らすよりも地方、時間の流れがゆっくりしている場所で過ごしたい、人生を充実させたい、という思いもあって飛騨高山に移住を決めました。

 

旬の食材の美味しさを最大限に引き出すために

——コースではどんな料理が出るんでしょうか?

大和さん:料理の内容はテーブルに出す時まであらかじめ知らせないスタイルをとっていて、メニューもあえて置いていません。「次は何が出てくるんだろう」というところも楽しんでもらえたらなと。
お客様からお尋ねがあればお答えしています。

皿数としてはランチは5~6皿、ディナーは9~10皿で、前菜、メイン、デザートなど一皿単位で、食材の旬に応じて新しいメニューに替えていきます。

 

ハマグリと筍のマリニエール(皮で香り付けした筍とサフラン、貝出汁のソース。仕上げには飛騨産のエゴマとピーカンナッツオイルを使用)


——料理のこだわりや重視している部分などはありますか?

大和さん:「分かりやすい料理」であること——料理説明があって、食べて、その味がする、ということを大切にしています。

見た目が華やかとか、驚きのある料理もたまには良いですが、もっと根本的な「美味しいか美味しくないか」というのは絶対に重要なことだと思うので、その食材のポテンシャルを最大限引き出して、その味がうまく伝わるような料理を意識しています。

絶対的な美味しさを出せる古典的な技法も使いつつ、同じ構成でもパーツや表現の仕方を変えるとか、同じ食材でも毎年別の組み合わせやアプローチを考えていきます。


食材について根本的なところまで掘り下げることで、新たな発想が生まれたりします。メレンゲと柑橘系は相性が良いというところから、メレンゲのデザートにミカン科の飛騨山椒を使ってみたり。

料理を再構築するという考え方もします。
たとえばフルーツタルトならタルト生地を生クリームと一緒にミキサーにかけて、フルーツはピューレ状にして固めて……と、食べているものは一緒なんですけど、見た目や食感を変えていく、といった感じです。

 

この店はカテゴリ的にはフレンチですが、自分としてはフランス料理をやっているイメージではないんですよ。場合によっては和食や中華、イタリアンのテクニックも取り入れていますし、食材も素材がよければ僕はなんでも使います。「フレンチ」にこだわらず、本当に良いものを取り入れていきたいと思っています。

 

 

——食材の話が出ましたが、やはり飛騨産を中心に扱っているのでしょうか?

大和さん:飛騨産の食材を中心に使いつつも、そこに縛られすぎず良いものは良い、美味しいものは美味しいという考えで、全国の良い生産者さんから仕入れています。

ただ野菜は特に出荷からのタイムロスを感じます。畑でとれたてを食べると全然違う。瑞々しいし、持ちも違います。
東京時代は豊洲市場からも仕入れていましたが、収穫から何週間も経っていたりするので、すぐに腐ったり傷んでいました。

欲しいときに必要な分だけ仕入れられる農家さんが近くにあるのはありがたいですね。
料理に飾る花など傷みやすい食材でも農家さんとの物理的距離が近いからこそ使えることもあります。

 

ソムリエール・田野上さんに聞くワインのこと

——ワインの銘柄はどのような基準で選んでいますか?

田野上さん:作った人の思いや、ブドウの育て方、愛情の注ぎ方、そういうことをできるだけ調べて、良いワイナリーさんのものを選びたいと思っています。

減農薬栽培のブドウを使ったワインや、無農薬・有機栽培のものももちろん用意があります。ですがそれだけにこだわらず、視野を広く持って良いものを探すようにしています。

 

——グラスワイン・ボトルワインはそれぞれ時期ごとに替わっていくんでしょうか?

田野上さん:グラスはシャンパン・赤ワイン・白ワインの3種を用意しています。
前菜から魚や肉、また素材やソースとの相性などコース全体を考慮しながら、料理が替わるのに合わせて月1回くらいの頻度で替えていきます。

ボトルは人気のもの、メジャーなもの、皆が飲みやすいもの、それでいてタイプが異なるワインを揃えています。
これから数を増やしていくのは確実です。

 

1階奥にあるワインセラー。これからどんどんワインを増やしていくとのこと!

 

——ワインに詳しくない場合は、どうやって選べばよいですか?

田野上さん:「お任せで」と言っていただければ、お客様のお好みに合わせてその日の料理と相性の良いお酒をお出しします。
まずはお客様が2~3時間のうちにどれくらいの量を飲めるか伺って、ボトルワインにするかグラスにするか決めます。

グラスだと食前酒、食中酒、食後酒という風に選んだり、料理によってはワイン以外のお酒をお出しすることもあります。日本酒を使ったソースの料理には日本酒をお出ししたり、といった感じですね。
ワイン以外のドリンクメニューも今後増やしていければいいなと思っています。

 

料理、ワイン、空間、コミュニケーション、全てを楽しんでほしい

 

——お店をこんな風に楽しんでほしいなど、お客様へのメッセージがあれば教えてください!

大和さん:一緒に来店された二人の仲が深まる、家族とのコミュニケーションが広がるような場になればいいなと思います。家族や近しい人とお話しながら2~3時間かけてゆっくり食べる機会って普段はあまりないと思うので、非日常的な空間で「こういう時間もいいね」って楽しんでもらえたらと思います。

自分の店を構えると全部自分に返ってくるといいますか、お客様からの反応をダイレクトに感じられるのが楽しいですね。どんな方が来るのか毎日楽しみにしています。

田野上さん:お話好きの方、静かに召し上がりたい方、お客様もそれぞれいらっしゃるので、様子を見ながら会話の入り方を変えています。でも何かしら声はかけるようにしていて、サービスだけで帰っていただくことはないです。

大和さん:そうですね。料理だけ出して帰っていただくというのは僕も違うと思っています。積極的にコミュニケーションを取っていきたいですし、そういった部分でも楽しんでいただければと。

田野上さん:美味しい食事とワインだけではなくて、この空間、スタッフのサービス、会話など全てを含めて「またここに来たい」と思っていただけると嬉しいなと思います。

大和さん:この店にしかない個性のあるサービス、そして料理を出したいと思っています。料理も飲み物ももっとこだわって、時間をかけて良いものを探していくつもりです。建物にもまだ手を加えたいですし、整えてより心地の良い空間にしていきたいですね。

 

 

NIM
TEL:0577-70-1817
住所:岐阜県高山市大新町1-39-3
営業時間:ランチ11:30~15:00(L.O.13:00)/ディナー17:30~21:00(L.O.19:30)
※完全予約制
定休日:火曜日/第1・3水曜日
駐車場:有(店舗前3台)
HP
SNS:Instagram
問い合わせ・予約:電話にて受付

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久保真弓
京都出身・2020年に高山へ移住。四季の美しさと飛騨野菜の美味しさ、人の温かさに惚れこんでいます。